USCPAを始める前に簿記は取ったほうがいい?
「USCPAを始める前に、まず簿記を取ったほうがいいですか?」とよく聞かれます。結論として必須ではありません。周囲にも、会計初学者からいきなりUSCPAを学習して全科目合格した人がいます。ただし、判断軸はシンプルです。
- 会計が初めてで、仕訳や三表の基礎が曖昧→簿記で土台を先に作ると、その後のFARやBARが理解しやすくなります。
- 会計の基礎がある/英語に抵抗が少ない→いきなりUSCPAでも問題ありません。
要は、現在地に合わせて負荷を最適化すること。遠回りに見えても、最初に土台を作る方が総学習時間が短くなるケースは多いと感じています。
結論から言うと・・・
- 結論:会計初学者で「いきなりUSCPAは不安」なら、簿記→USCPAは“遠回りに見えて近道”。特に簿記2級はFARの理解と苦手意識の解消に効く“踏み台”でした。
- 私の選択:簿記2級を“見極めゲート”に設定し、合格したらUSCPAへ進む方針に。
- メリット:①FARとBARの理解がしやすい ②会計への心理的ハードルが下がる ③簿記という資格が残る。④勉強習慣が身につく。
- デメリット:①USCPAの開始が遅れる ②恩恵が一部科目のみ(主にFARとBAR)
- パターン提案:
①時間がある→簿記3・2級→USCPA(推奨:2級)
②時間が少ないが不安→簿記3級だけ→USCPA
③自信あり→いきなりUSCPA
簿記のメリットとデメリット
メリット
- FARの理解が速い:売上債権・棚卸・固定資産・引当など“骨組み”が先に入るため、英文問題でも迷いにくい。
- 会計への苦手意識が薄れる:日本語で“仕訳→三表”の枠組みを作ってから英語へ橋渡しすると、用語と設問の解釈が安定し、読解ストレスが下がる。
- 資格が残る:簿記という客観的な証明が履歴や社内外の説明で効く。
- 自信がつく:合格という達成感が、USCPA挑戦時の心理的ハードルを下げてくれる。
- 勉強習慣が身につく:簿記の合格のための勉強習慣が、以後のUSCPA学習にスムーズに移行できる。
デメリット
- 時間がかかる:USCPA開始が数週間〜数か月遅れる。
- FARとBARの一部でしかメリットが得られない:他科目(AUD/REG)には直接の効果はほぼないため、別途攻略が必要。
- 用語の二言語対応が必要:日本語で覚えた会計用語を英語で再定着させる負荷がある(例は以下のサブリスト)。
- 貸倒引当 → allowance for doubtful accounts
- 減損 → impairment
- 正味売却価額 → net realizable value
- 未払費用 → accrued expenses
- 前受収益 → deferred revenue
タイプ別の最短ルート(3パターン)
① 時間がある人:簿記3・2級→USCPA(おすすめ)
- 狙い:会計資格との相性の見極めとUSCPAへの距離感を図る。簿記2級をすぐに活用。
- 進め方:3級→2級まで取得 2級合格時点でUSCPAへ挑戦するか決める。
- 注意:2級に苦戦した場合、すぐに撤退ではなく、2級からUSCPAの②ルートも検討。
② 時間が少ないが不安:簿記3級→USCPA
- 狙い:最小限の橋渡しでUSCPA挑戦の心理的ハードルを下げる。
- 進め方:3級合格後にUSCPAへ挑戦するか決める。
- 注意:3級は合格点を取れる学習よりかは、会計の基礎を固める意識で取り組みたい。
③ 自信あり:いきなりUSCPA
- 対象:会計基礎がある/英語抵抗が少ない/短期集中したい。
- 進め方:いきなりUSCPAへ挑戦。簿記には触れずにUSCPAのテキストのみで学習。
- 注意:最初は学習スピードが遅い、戸惑う可能性あり。気にせず学習継続へ。
私の体験談:簿記2級で“見極め”てからUSCPAへ
私は会計初学者でした。いきなりUSCPAに突入するより、まず自分の地力を確かめる“見極めゲート”として簿記2級を置き、合格したらUSCPAに挑戦する——このルールを決めてから迷いが消えました。
簿記2級のお陰でFARとBARの一部についての理解がしやすかったと感じています。
簿記2級で得たのは、仕訳→三表(PL/BS/CF)の変換が身体感覚として定着したこと、そして簿記に合格することで「自分にも会計資格は取れる」という自信です。一方で、AUD・REGに直結しない領域は多く、全科目でメリットがあるわけではありませんでした。
簿記の試験概要
- 級の位置づけ:3級=基礎(商業簿記中心)/2級=実務レベル(商業+工業簿記)。
- 出題範囲:仕訳・試算表・決算整理・財務諸表、(2級)原価計算・製造業会計など。
- 試験方式:CBT(通年・随時)または一部ペーパー方式。予約空き状況は会場ごとに変動。
- 合格基準:各級とも70%前後が目安(詳細は主催団体の最新要項をご確認ください)。
簿記の試験についてはこちらの記事にまとめています。
よくある誤解と事実(コンパクト版)
- 誤解:「簿記はUSCPAに必須」 → 事実:必須ではありません。現在地(基礎・時間)で判断します。USCPA直行でも全科目合格は可能です。
- 誤解:「簿記は全科目に効く」 → 事実:恩恵は主にFARとBARの一部。AUD/REGは別途対策が必要です。
- 誤解:「簿記に時間をかけるほど安全」 → 事実:長期化は機会損失。区切りを決めてUSCPAへ進む設計が重要です。
まとめ
- 結論:簿記は必須ではありません。現在地に合わせて、①簿記3・2級→USCPA/②簿記3級→USCPA/③いきなりUSCPA の三択から選ぶのが現実的。
- 効きどころと限界:恩恵は主にFARとBARの一部。AUD/REGは別途対策が必要で、用語の二言語対応という負荷も伴います。
- 体験談:簿記2級でFARの理解がしやすくなり、自信と勉強習慣がつきました。一方で直行でも合格例はあり、自分のバックグラウンドや時間などで判断すべきです。