役所の仕事内容とは?国家・地方公務員の業務をわかりやすく解説

国家公務員と地方公務員、部署別に仕事内容を紹介

「役所の仕事って、結局何してるの?」
就職活動や転職で公務員を目指す人の中には、こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

役所=窓口業務というイメージが強いかもしれませんが、実は公務員の仕事は非常に幅広く、多岐にわたります。実際私も、地方公務員として働くまではこのイメージが強かったのは否めません。
しかも「公務員」と一口に言っても、国家公務員と地方公務員では役割も働き方も大きく異なります。

今回は、国家公務員と地方公務員の違いを踏まえながら、部署ごとの代表的な仕事内容を紹介します。これを読めば、公務員の仕事の全体像がぐっと身近に感じられるはずです。

国家公務員の仕事内容とは?

国家公務員は、国の行政を担う公務員です。中央省庁(例:厚生労働省、財務省、国土交通省など)で働く本府省勤務と、全国各地の出先機関で働く出先機関勤務の2種類があります。

◼ 主な部署とその仕事内容

政策立案系(本府省)

  • 仕事内容:法案・予算の作成、政策の企画・立案、国会対応など。
  • :厚生労働省で少子化対策に関する政策を企画・調整。
  • 特徴:激務で知られるが、日本全体に影響を与えるスケールの大きな仕事。

国税庁(税務署含む)

  • 仕事内容:法人・個人事業主の税務調査や徴収業務。
  • 特徴:出先機関が多く、全国転勤がある。数字に強い人向け。

法務局・出入国在留管理局

  • 仕事内容:戸籍・不動産登記、外国人の在留許可など。
  • 特徴:法律知識が活かせる。窓口対応も多く、一般市民との接点も多い。

気象庁・国土地理院などの専門機関

  • 仕事内容:気象観測・災害予測、地図作成・地形測量など。
  • 特徴:理系の知識を活かせる専門職。研究機関に近い業務も多い。

出先機関勤務(地方整備局、労働局など)

  • 仕事内容:公共工事の管理、雇用保険業務、労働基準監督など。
  • 特徴:現場対応が中心。地域に密着した行政サービスを担う。

地方公務員の仕事内容とは?

地方公務員は、都道府県・市区町村などの自治体で働く職員です。住民にとって最も身近な「窓口業務」から、都市計画や教育、福祉政策など、地域行政全般を担っています。

◼ 主な部署とその仕事内容

市民課・戸籍住民課(いわゆる「窓口」)

  • 仕事内容:住民票、戸籍、マイナンバー、印鑑登録などの発行や管理。
  • 特徴:役所の“顔”的存在。来庁者対応が中心で接客力も必要。

税務課

  • 仕事内容:住民税、固定資産税、軽自動車税などの賦課・徴収。
  • 特徴:制度変更が多く、法改正対応に追われることも。繁忙期あり。

福祉課・子育て支援課

  • 仕事内容:生活保護、障害者支援、高齢者福祉、子育て支援など。
  • 特徴:困っている住民と直に関わる仕事。精神的負担が大きい分、やりがいもある。

教育委員会

  • 仕事内容:学校運営の支援、教職員人事、教育施策の企画。
  • 特徴:教育に関心が高い人向け。教員との連携業務が多い。

都市整備・建設課

  • 仕事内容:道路・公園・公共施設の整備や修繕の計画・管理。
  • 特徴:住民の生活インフラを支える役割。災害対応業務も。

防災・危機管理課

  • 仕事内容:地震や台風などの災害対応、避難所設営、地域防災計画の策定。
  • 特徴:突発対応が多く、緊急時には泊まり込みになることも。

総務・企画課

  • 仕事内容:庁内の人事・給与・庶務、自治体の中長期計画の立案など。
  • 特徴:対外対応は少なく、内部管理が中心。比較的ホワイトな部署とされる。

国家公務員と地方公務員の違い

項目国家公務員地方公務員
対象エリア全国(国の施策)地域(自治体の施策)
配属先中央省庁・出先機関都道府県庁、市役所など
転勤の有無あり(特に出先機関系)基本的に自治体内のみ(広域もあり)
業務の特徴法律・政策レベルの仕事が中心住民と直結した現場対応が中心
残業・繁忙の傾向中央省庁は激務、出先は部署次第部署によって差が大きい

国家公務員と地方公務員の仕事内容を簡単に紹介しましたが、私の中のイメージとしては、国家公務員(中央省庁)が政策立案組織であり地方公務員が(都道府県庁、市役所)執行機関として機能しています。

例えば、経済的に困っている家庭の子どもに対する施策として「子どもの就学援助制度」というものがあります。これは国(文部科学省)→都道府県→市区町村という流れで施策の決定から実行まで行われています。

国(文部科学省)制度の方針づくり、補助金交付

都道府県国の補助金を受け取り、市区町村に配分・調整

市区町村実際の申請受付・審査・支給実務を担当

上記の流れを見ると同じ施策でも、機関によって行っている業務が異なるイメージができると思います。

まとめ

役所の仕事は、単に「書類を処理してる人たち」というイメージではとらえきれないほど多様です。国家公務員は国全体の制度設計や法令に関わるスケールの大きな仕事が中心で、地方公務員は住民のすぐそばで日々の暮らしを支える実務的な仕事が多くなります。

どちらの仕事も、それぞれに違ったやりがいと厳しさがあります。公務員を目指すのであれば、「安定」や「ホワイト」といったイメージだけではなく、どんな仕事をして、誰の役に立ちたいのかという視点を持って職種や部署を選ぶことが大切です。