公務員を辞めるのはもったいない?
「公務員は安定しているから辞めないほうがいい。」「せっかく試験を乗り越えてなれたのにもったいない。」公務員を辞めることについて、このような意見が一般的にはあると思います。
私は、公務員のままでは理想のキャリアと働き方を形にしにくいと判断し、理想と現実のギャップを整理し、結果的に転職を決意して、簿記とUSCPAの学習を始めました。もちろん、公務員を続けることが“正解”となる場合もあります。
この記事では、公務員として感じた良さを実体験ベースでまとめ、つぎに、私が思い描いた理想のキャリア像を置き、その理想と日々の働き方のあいだにあったギャップを五つの視点で整理しました。
1. 公務員の良さ
- 安定:多くの職場で年次に応じた定期昇給があります。原則として懲戒や大規模な組織再編を除けば、身分は手厚く守られます。
- 休暇・給付:年次有給休暇に加えて夏季休暇が別枠で用意され、運用も比較的確実です。共済の付加給付や互助会のカフェテリアプランなど、生活を支える仕組みも整っています。
- 公共性・社会的意義:地域に直結する業務が多く、住民サービスの改善など社会への貢献を実感しやすい環境があります。
- 社会的信用:対外的な信用が厚く、各種手続きや与信で有利に働く場面があります。
これらは私自身も恩恵を受けた点であり、公務員という働き方の強みだと感じています。
2. 私の理想のキャリア
- 専門を身につけたい。 同じ論点を複数年にわたり深掘りし、再現性のある成果を数値で示せる状態を目指したいと考えていました。
- キャリアを自分で選びたい。 配属や担当業務に選択権と透明性があり、自信の目指すキャリアが実現する環境を求めました。
- 成果が伝わり、実力に連動して評価されたいです. 実績を数値で説明でき、評価や昇格、報酬に反映される仕組みを重視しました。
- 柔軟な働き方をしたい。 在宅勤務やフレックスが繁忙期でも一定の範囲で選べ、部署や時期によるばらつきが小さく、休暇も取りやすい運用のもとで、対人ストレスを無理なくマネジメントできる体制を望んでいました。
- 挑戦し続けられる環境で、向上心を持ち続けたい。 学びと実践を重ね、役割・裁量・報酬が実力に応じて広がっていくことを望んでいました。
3. 理想を満たせなかった点
1) 専門性が積み上がらないこと
配属は一〜二年の周期で切り替わり、論点や関係者、業務の手順がその都度リセットされました。結果として、同じ領域を年単位で深掘りする機会が限られます。KPIを継続的に追う設計がそもそも存在しない部署も多く、改善率や削減額といった数値の積み上げが難しいと感じました。私が目指した「自分の名前で語れる強み」は太くなりにくかったのです。
2) キャリアの選択が難しいこと
異動は組織都合が最優先で、希望が通る確率は高くありません。自己学習と配属が噛み合わない時期が続くと、自己投資の効果が薄れていきます。一方で、民間企業への転職においては公務員の経験が評価されにくい傾向にあります。実績を、件数、処理時間の短縮、コスト削減など、民間の言語に置き換える作業も想像以上に難度が高いと実感しました。
3) 年功序列が強く、評価が待遇に反映されない
評価や処遇は年次と役職の影響が大きく、若手が成果を出しても昇格には時間がかかります。成果連動の報酬や株式報酬のような上振れが基本的にないため、努力と報いの接続が弱くなりがちです。頑張りどころの設計が難しく、モチベーションの維持にも工夫が必要でした。
4) 職場環境のばらつきが大きいこと
繁忙期の長時間労働が当たり前になっている部署が存在します。住民対応ではクレームやトラブルが続き、対人ストレスが慢性的に高くなることもありました。制度上の休暇は手厚い一方で、実際に取りやすいかどうかは部署の文化に左右されます。また、在宅勤務やフレックスなど働き方の柔軟性は部署や時期による差が大きく、実際には選択肢が限られていると感じました。異動によって環境が大きく変わるため、心身の管理と成長の両立が難しい局面がありました。
5) 長期的な天井が見えやすいこと
最終到達点はおおむね部長級で、主な役割は議会や首長、他部局との調整です。大きな政策を主導する機会は限定的で、役割や報酬、裁量が非連続に伸びる可能性は高くありません。十年後の自分を想像しやすいという点は長所ですが、伸びしろの射程は短いと感じました。
4. 照合の結果と決断
就職当初は社会人としての経験がなく、自分がどのように働きたいのかを明確に持てていませんでした。正直なところ、公務員になれば安定だと思っていました。実際に働いてみると、私の理想のキャリアプランは公務員の働き方とは大きく異なり、むしろ逆方向だと感じました。ここまでの良さと理想、そして五つのギャップを並べて見直した結果、私は公務員では自分の理想のキャリアと働き方を実現しにくいと確信しました。私のキャリアプランに最も一致すると感じたのがUSCPAでした。そこで、監査法人や事業会社の経理・財務、アドバイザリーといった進路を見据え、まず簿記とUSCPAの取得を決めました。学習の始め方や試験の全体像は、下記の関連記事で詳しく整理しています。
簿記で転職が有利に!未経験でもキャリアを広げる最短ステップ
USCPA(米国公認会計士)とは?会計初学者でも取得できる?取得方法と難易度について
5. 判断するにあたって
地方公務員は、安定の標準装備として非常に優れています。生活を支える制度は手堅く、社会的な信用も大きいです。一方で、専門性や裁量、外部市場での価値を短期間で高め、さらに将来価値の上振れまで取りにいくには不向きだと感じました。私は安定よりも積み上げの実感を優先し、外に出る選択を取りました。ただし、これは私個人の結論であり、正解かどうかは人によって異なります。生活の安定や地域貢献、専門性の深さ、報酬の上振れなど、どの軸をどの程度重視するかで最適な選択は変わります。公務員を続けることが正解になる方も多くいらっしゃいます。やめたいと感じたときは、理想と現実のギャップを棚卸しし、数字で語れる材料をそろえながら検討を進めることをおすすめします。どちらを選ぶにしても、職務の棚卸しとポータブルスキルの強化が、次の扉を開く鍵になります。
6. まとめ
本記事では、公務員の良さとして「安定」「休暇・給付」「公共性・社会的意義」「社会的信用」を整理しました。そのうえで、私の理想と照らしたときに埋めにくかった点として、①専門性が積み上がりにくいこと、②キャリアの選択が難しいこと、③年功序列で評価が待遇に反映されにくいこと、④働き方や職場環境のばらつきが大きいこと、⑤長期的な天井が見えやすいことを具体化しました。
良さとギャップを並べて考えた結果、私は自分のキャリアプランに合致する道として簿記とUSCPAの学習を選びました。ただし、これは私個人の結論です。重視する価値観やライフステージが違えば、公務員を続ける選択が最適になる場合もあります。
迷いが生じたときは、まず現在地を可視化してください。業務や職場環境の棚卸しと、理想の働き方とのギャップの洗い出しが、次の一歩を明確にします。そのうえで、自分に合った学びや資格、職場選択を落ち着いて検討していくことをおすすめします。




